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「人のために~」という言葉を使う理由

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「人のために~」という言葉を使う方は、二通りの方がいらっしゃるのではと思います。

1・心優しい、人に尽くすことを厭わない人。
2・印象操作し、人をコントロールしようとする人。

ここで気を付けなければならないことは、2番目の「印象操作し、人をコントロールしようとする人」です。
このような人たちが良く使う手法として、以下の2点があると思います。ただし、ここに書くことは、それ自体が「悪い」ということではありません。

・恩を着せて、相手の行動を規制する。

「私はあなたのために~しましたよ」と言われると、大体の人は悪い気はしませんし「ありがたいな」と思い、私のためにしてくれた人を「良い印象」と認識するはずです。
そして、一度その人を「良い印象の人」と認識してしまうと、その印象は簡単には覆りません。
その理由は、脳の機能がそうしているからです。
それからは因果応報で、私のためにしてくれた人に対して、逆に「何かしてあげよう」と思うのです。これは、ごく自然なことですし、何も悪いことではございません。
ですが、ここで考えなければなりません。
考えなければならないことは「私のためにしてくれた誘引はなんだったのか?」です。
リーダーシップマニュアル#2「批判思考」の応用編(クリティカルコミュニケーション)です。
変に勘繰ることではありません。冷静に考える、ということです。
何も考えなければ、ご自身が知らぬ間に行動が規制されます。
以外と、「私はあなたのために~」という言葉を使う人は、実は「あなたのために」やっているのではなく、それを言っている自分の要求を聞くように仕向けているのではないでしょうか?
ですが、何度も書きますが「あなたのために」と言うこと自体が「悪い」わけではございません。
実は、リーダーとしては必要な時もあるのです。
必要な場合とは、次の「B層の人たちをコントロールするとき」です。

・B層のコントロール

「B層」とは、IQが低く、リーダーの言っていることに疑心を持たずに概ね賛成している人のことをいいます。
この層の人は、IQや思考力が低く、大衆の意見に流されやすい人で、一番多い層です。
リーダーシップマニュアルでしたら、#1「聴き方」と、#2「批判思考」ができない人です。
「できないレベル」とは、スキルのセルフチェック項目の点数が8割未満の方だと認識されていても間違いは無いと思います。9割以上できる人が「できる」人です。
大きな組織を束ねて「迅速に」進むには、B層に働きかけるのが一番効率的なのです。
組織が大きくなれば大きくなるほど、この傾向が強くなっていきます。この傾向が強くなるのは、リーダーに倫理観が無いから、ではありません。「そうなるもの」なのです。
それでは、この傾向が続くことは、将来の私たちにとって良いことなのでしょうか?
私は、到底良いとは思えません。
なぜなら、B層が多くなって結果として一番困るのは、B層の人たちになってしまうからです。
それは、歴史が証明しております。
思考しない大衆に働きかけた言葉は、大変危険なのです。
わかりやすい単純明快な言葉やキーワード、考えなくてもすぐにその場で理解できる内容、聴衆が聞きたいであろう言葉、皆で同じ動きをさせるように仕向ける言動、これらすべてB層に向けられております。CMや大統領は、よく好んで使っております。また、スピーチにおいても、このようなものが好まれやすい傾向があります。
リーダーはB層に対して伝えているので、わざわざリスクをお伝えいたしません。
理由は、B層の人は思考しないので、リスクを聞いたとたん「それでは良くない!」と、短絡的に解釈して、右から左へ意見が変わってしまうからです。そうなってしまうと、皆さんを不安にさせてしまったり、経済が成り立ちません。

たとえば、自動車会社として、
「自動車を運転する皆様の安全のために、自動運転の技術を開発しました。ぜひ皆さん安心して乗ってください。ですが、誤作動のリスクも0.5%ありますので、気を付けて運転してください」なんて、言うわけ無いでしょう(笑)。この場合、誤作動のリスクの部分は言わないのです。
本当のことを言ってしまったら、会社が存続できないのです。なので、良い面だけ強調せざるを得ないのです。

こう書くと、コンプライアンスだの何だのという方もいらっしゃると思いますが、たくさんの社員を抱えた営利企業の社長の視点で考えてみましょう。

それでも、数ある企業の中には、自社から正直にリスクをお伝えする企業もあります。(ある有名な食品会社)
実は、そのような企業は信頼され、顧客の差別化ができ、固定客が付くのです。リスクについて考えない顧客は買わず、リスクをしっかり認識している方は、リスクを負える範囲で商品を買うのです。
B層の人は、なぜ短絡的に解釈して意思決定するのか?

・リスクを防ぐための防衛本能(自動思考)に従った。
・本能で意思決定するような思考パターン(考え方の癖)に気づく機会が無かった
・別段、現在の思考パターンで不具合が無いから(不具合があっても、思考しないので認識できない)

以上が考えられると思います。
では、私たちトーストマスター会員は、何をどう考え、どう行動すれば良いのか?
何をどう考えるのか

・リーダーが推し進めていることの「メリットとデメリット(リスク)」を調べ、特にリスクがどのように自分に影響するのかを考えること。
・リーダーの発言の背景を考えること。
・リスクを考える際、感情を抑え、冷静に考えること。

どう行動すれば良いのか
・リーダーシップマニュアルの#1「聴き方」と、#2「批判思考」を、9割以上出来るようにクラブ活動を通じて訓練することです。

そうすることで、

・人に惑わされることが少なくなる
・感情の影響を抑えられることによって意思決定がブレにくくなる
・誠実なリーダーが育ちやすい環境を作れるようになる

と思います。

★リーダーシップスキルのチェック項目は、クラブの他のメンバーの方にも評価していただきましょう。多面評価もあると、より客観的に自分のスキルを確認することができます。

私は、トーストマスター活動全般「自分のためにやるのも」だと思います。
10年ぐらい前、私は自分の能力を向上させたくて入会を決意しました。
その当時のクラブでは「人のために行動しましょう」という言葉や雰囲気がありました。
それが、その当時の組織文化、誰かが刷り込んだ「美徳」なのでしょう。
わざわざ「人のために、あなたのために」などと言わなくても、自分が「自分の役割」を認識し、自分のために最大限努力していると、その努力を見ている他の人に「自然」と影響を与え、「自然」と他の人のためになるのです。
「自分のためにやる」こととは、「自分の役割を全うする」ということであり、自分の利益や都合を優先させる、というような「自己中心的行動」とは全く違うのです。

次回は「リーダーの仕事」です!

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